秋祭りの季節に帰省するのは15年振りで、故郷を出てから初めてのことだった。その日は一日中、懐かしい祭り囃子が聞こえていた。この帰省では色々な人と再会することができた。高校時代以来会ってなかった同級生達が、当時と変わらないあだ名で呼んでくれた。すぐにあの頃の空気が蘇り、その場の雰囲気には合わないくだらない話に華が咲いた。
また、小学校の時大嫌いだったピアノの先生にも会うことができた。僕は先生を見つけるとすぐに駆け寄って挨拶をし、今ピアノを再開していることを伝え、「ありがとう」と頭を下げた。先生は目を細めて「アンタはなー、昔より練習しとるやろ~」と嬉しそうに恨めしそうに答えた。先生は80歳を越え、耳も遠くなってしまったために、ピアノ講師は辞めてしまっていた。だけど、体調の良い日は欠かさずピアノを弾いているとのことだった。別れ際、大きな声で「ずっと弾きなさいよ、みんなに聴こえるように弾きなさいよ」と仰ってくれた。昔の恐い印象とは全く違って、ニコニコと明るい笑顔が印象的だった。いたずら好きでおてんばな女の子のような、そんな笑顔だった。窓からは祭囃子が賛美歌のように聞こえていた。
子供達が担ぐお神輿は、記憶と違ってとても小さく、僕は自分が担いだ時のことをほとんど思い出すことができなかった。離れたところから見ていると何か本当に切なくなった。だけど彼らの掛け声は、今でもまったく変わらない大声で、ところかまわず叫んでいるお神輿が近付いてくると、その騒音に思わず吹き出してしまった。匂いというか空気というか、思い出ではなく、傷跡のようなものが体の中でこそばゆい反応を示したのだと思う。
故郷での最後の日、同じく帰省していた妹と釣りに出かけた。妹は仕事先である南半球からの帰省だった。15分ほど車で走った港の外れの防波堤で僕たちは糸を垂らした。ゆっくりとした潮風が吹いていた。10月なのに暖かく、夕日の柔らかい光が心地よかった。妹は「今まで祭りの時期には帰省してなかったけど、本当は私、この季節が一番好きなんよ。呼んでくれたんやなぁ。」としんみり言った。波の音は小さく囁いているようで、海は完璧な凪、夕焼けを受けてオレンジ色に輝いていた。1年前の今日のことだ。この日、かっぱ父死す。
ということで、週末からしばらくあれやこれやの雑事ため実家に帰省します。なので更新は滞ってしまうと思います。でも、このナルでウエットなエントリーがトップにあるのはどうかとも思うので、できれば明日とかそれ以後のどこかで更新ができればなと思っています。また、ブログを移転してリンク等がまだ完成してないんですが、ナルハヤでやりたいと思ってますんで、リンクしてくれてる皆様やここに立ち寄ってくれてる皆様、もうちょっとお待ちください。ってことで、実家では刺身食いまくって太ってきます。ではでは。
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